【書評】ティム・クック アップルをさらなる高みへと押し上げた天才
引用
P77
IBMでの最初の仕事を通して、クックはJIT精算の複雑さを学び、その知識は後に、アップル製造プロセス全体を徹底的に見直す際に活用された。
彼の最初の仕事は、工場の生産ラインにおけるパイプラインの管理、すなわち、PCの製造に十分な量の部品が、工場にそろっているかを確認する仕事であり、想像よりも過酷なものだった。
正確さと細部まで気を配ることを求められるストレスのたまる仕事だった。
P110
破産の危機に瀕していたアップルに入社した。
オペレーションはアップルにおける最悪な領域の一つだった。
コストの管理、在庫の管理、請求書の管理、全てが苦手だった。
クックも、「コストがかかっている割には、サイクルタイムが良いとは言えない状況だった」と言っている。
クックの仕事は、「細部まで気を配り、時間通りに列車を走らせる」こと。
P117
オペレーションが大幅に改善され、クックはアップルの収益性回復に重要な貢献をしたと評価された。
彼が確立したシステムは、数年後のアップルの驚異的な成長をも促進することとなった。クックの卓越したオペレーションがなければ、アップルがこれほど大きく成長し、業界で優位に立つことは決してなかったことは明らかだ。
ジョニーアイブのインダストリアル・デザインチームが素晴らしい製品を作り上げたように、クックのチームはそれらを大量に生産し、遅滞なく、厳重に秘密を守りながら、世界中の店舗まで届ける方法を考え出した。
シンクディファレント。
主力製品をできるだけ多くの人の机rの上に届ける必要があった。重要なホリデーシーズンに、コンピュータを適切な手段で確実に顧客のもとに届けるため、クックは数カ月前に1億ドル(約110億円)相当の航空貨物便を予約した。前代未聞のことだが、非常に大きな成果を生む結果となった。ライバルがそのシーズンにPCを届けることができなかったからだ。